エイリッヒ・フロム『悪について』②

エイリッヒ・フロム『悪について』20180429②.mp3 2018年4月29日定例読書会録音。フロムの『悪について』の二回目でございます。フロムこの本を書くにあたって避けられない時代経験が「キューバ危機」です。第二次世界大戦を経験したのにも関わらずなぜ人間は殺しあう(=悪へと向かう)事になってしまうのか?これがフロムの根本的な問題意識となりました。 近代国家においては国家間の衝突が起きた場合、国家の成員は戦争へと動員されるという宿命があります。国家内では善良な市民でも悪に手を染める・・・この手段的な悪の行為を行う際の、人間の心理分析をフロムは試みていきます。

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エイリッヒ・フロム『悪について』①

エイリッヒ・フロム『悪について』20180429①.mp3 2018年4月29日定例読書会録音。今回よりエイリッヒ・フロムの『悪について』を四回に渡りお届け致します。 はじめにお話しするとタイトルから悪全般を語るような本に思われますが、ここでフロムが語る悪というのはとても限定的なものです。社会心理学者として、そして第二次世界大戦や戦後の状況などの時代経験者として、彼は近代以降に生きる人間が「悪」と思われる行為に及ぶ際の精神性に関する分析を行っております。 なので必然的に初回はフロムの人となり、そしてフロムの生きた時代背景などを中心に話していく形となっております。 なお私的な事情ですが、この読書会はマザー・テラサワがオフィス北野を退所する直前に催された為にその点に言及してる時間もかなりあります。フロムのみならず、おしなべて人間の思考はその人間が置かれている具体的な状況に縛られるものだという事を改めて実感出来ます。

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池田理代子『ベルサイユのばら』④

池田理代子『ベルサイユのバラ』20180304④.mp3 2018年3月4日定例読書会録音。池田理代子『ベルサイユのばら』最終回でございます。いよいよフランス革命といううねりが登場人物を襲います。華やかな舞台にも関わらず最後の最後に訪れる悲劇。市民が巨大な王政権力を打倒するという歴史上かつてなかった事件の中で一個人の力はあまりに無力であるのを痛感する次第でございます。

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