野田サトル『ゴールデンカムイ』④
野田サトル『ゴールデンカムイ』20190106④.mp3
2019年1月6日定例読書会録音。ゴールデンカムイの最終回でございます。
今回はアイヌ民族の特質に触れたり、最終回らしくゴールデンカムイという作品が投げかけているであろうテーゼに関して話してみました。開拓初期の過酷な北海道という環境で生きることの困難には、この配信で度々触れて来ました。そして様々な立場の人間が隠れた黄金の行方を巡り対立してます。
しかし社会的動物である人間にとって、他者との関係を避けることが出来ません。過酷な環境を伴う北の大地だとなおさらです。「生き抜く」為であれば立場や民族、目的の違いというものを抜きにして人は協同をせざるを得ないという状況がこの作品には度々描写されます。それは開拓以降日本全国から多様な人間が流入し、各々が各々の慣習に囚われるだけではやっていけないという状況を目の当たりにしてきた初期の北海道人の歩みでもありました。その意味ではゴールデンカムイは近代以降の北海道の根底にある思想を描いているとも言えるかと考えております。